ごあいさつ

子ども達の輝ける居場所造りをめざして
―子どもミュージカル・ひまわりキッズ&フルールの取りくみ―

代表 長谷川 千恵

あるとき自宅でピアノ教室を主宰している私の所へ、生徒の父兄であり、また私の友人でもある方から、「先生、今、生徒さんたくさん? どうしても習いたいっていう男の子がいるんだけど、教えてもらえないかしら?」と尋ねられました。
その頃は、まだ少子化問題が現実の事としては感じられないほど、私の教室でも一週間を通して、個人レッスンのスケジュールが埋まっていましたが、たまたま空いていた時間帯が本人の来られる希望日とあっていた為、お引き受けすることになりました。

この何気ない少年との出会いが、今まで私自身が学んできたものを、平々凡々とそのまま子どもたちに指導するだけで満足していた自分の物事に対する意識の大きな転換となったのです。
でもまさか、その後、多くの子どもたちの瞳が輝き、心から笑顔で自分を表現できる居場所を作る! という活動にのめり込むことになろうとは……。その頃は夢にも思っていませんでした。

当時、小学2年生であった彼は、誰に対しても素直で人懐っこく、物怖じせずどんな事でもハキハキと話すことができる。大好きな音楽は歌でもピアノでも、自分の感じるままに喜んで楽しそうに演奏し、私が教える事は、その愛らしい瞳をますます輝かせながら、自分の知らない事を新しく学ぶ喜びで、時間さえあればいつでもピアノから離れようとはしませんでした。
また、彼は天性の音感とリズム感を持ち合わせていたので、この子の才能をとにかく大切に育ててあげたいと感じました。

そして、それから2年後の発表会の折に、かねてより私自身がやってみたかった事をやる事ができました。それは、ピアノ教室の発表会を型にはまったものではなく、身構えずに心や体が音楽を感じてもらえるような『音楽の発表会』を開くことでした。
私の考えとして、リズムを感じれば体が動き、メロディーにのれば心が動く! これがすべて音楽と思っていて、とかく日本ではジャンル別に意識が変わる風潮があるように感じていた為、第二部に当時日本でも定着してきたミュージカルを、希望する子どもたちにやらせてみようと考えたのです。

案の定、彼は真っ先にやりたい! と。そして私の音楽仲間に手助けをしてもらい、「きつねくんの大冒険」という可愛い20分程度の作品に挑戦したのです。
練習の当初は、地方という環境のせいか、皆恥ずかしがり屋で……。また、周りの目を気にする事により、思い切って演じる事がなかなか出来ない様でしたが、中心となっている彼が、周りの事を一切気にせず、胸を張って堂々と楽しく演技をし、嬉しそうに歌う姿に、いつの間にか自分たちも引き込まれ、一生懸命に歌い踊り、精一杯の本番を造り上げる事ができました。その姿に、スポーツで得るとは一味違った感動と驚きを子どもたちから得ることができました。また、たくさんの拍手と声掛けを頂き、全員が達成感と満足感で終えることができました。

そこで、「常により良い演奏、作品を造り上げるという向上心の元での厳しい練習の積み重ねで、年齢差を超えた仲間同士の心の“和”を育てよう」と思ったのです。
今や日本中のあらゆる市町村で青少年健全育成の趣旨の元、社会から見守られ大切に育てられているさまざまなスポーツ少年団等と同様に、音楽(文化)グループがあってもよいのでは!? という単純な考えが私をそうさせました。

音楽をはじめ文化・芸術的なものは、いわゆる習い事として、あるいは営業価値的なものとして、条件・環境が許されなければ誰もが体験できるという訳ではないのが現状です。
そこで、私は教室とは全く切り離し、指導者として、そして趣旨を理解し共に子どもを育てようと手伝ってくれるスタッフを交えて、皆でボランティアに徹しようと決意しました。音楽が好きな子は誰でも入れるよ! と名前を「ひまわりキッズ」と命名し、小さなアマチュア音楽グループを結成したのです。

会の運営は毎月子どもから1,000円を会費として徴収し、活動資金としてやりくりをしています。現在メンバーは小学1年生から高校生までと、年齢差がありながらも、共に精一杯の力を出しながら一つのものを造り上げる仲間として、強い団結力で結ばれています。
最初は地域の老人施設等でのミニコンサートやボランティアフェスティバルへの参加からスタートしました。毎回の本番で、子どもたちの輝く瞳とあふれんばかりの笑顔をご覧くださった方々の口コミで、子どもたちに対する思いをご理解くださり応援してくださる人が徐々に増えていってくださいました。
そして、この小さなグループを支援してやろうという地域の多くの方々のおかげで、鴨川市民会館、南総文化ホールにおいてオリジナルミュージカルの自主公演をやらせていただく事が出来ました。

人は誰もが自分の好きな事、得意になれる事、そしてそれが精一杯出来る居場所があるというだけで、すべての事に対して素直に、そして前向きにがんばれる力を出し、人にも優しくなれるという事を、子どもたちは改めて教えてくれました。私たち大人は、損得なしに子どもからエネルギーと感動をもらい心の洗濯をすることが出来ました。
また子どもたちは、自分たちで自分たちの輝ける居場所を造り、支えてくれる周りの全てに感謝の心を持ちながら、お互い与え与えられ、感謝しあい成長しています。
ひまわりの様に太陽に向かってグングン伸びていく可愛い子どもたちに、感謝! 感謝です。